環文化財修復工房

修復作業中の手元

修理実績

修理実績

修理実績

2018
薬師如来坐像
2019
肖像彫刻
肖像彫刻
2021
天部像
天部像
弘法大師坐像
2022
女系天部像
地蔵菩薩半跏坐像
毘沙門天立像
十一面観音立像
2023
天部像
法然上人立像
善導大師立像
阿弥陀如来坐像
十一面観音坐像
千手観音立像
毘沙門天立像
聖観音立像
不動明王立像
肖像彫刻
新日吉神宮 唐子文様飾幕(レプリカ制作)
2024
女系天部像
童子像 五体

修理事例①
木造毘沙門天立像

所蔵 来迎寺(大阪府)

像高 131.5cm

【修理前】

解体された毘沙門天立像

【修理後】

修理後の毘沙門天立像

修理前の状態

虫蝕害による損傷が激しく、バラバラの状態で保管されている。
現存する前面材は、本像が制作された平安時代の作。背面・両腕・頭部は江戸時代に補作されたもの。

修理の方針

所有者様の「江戸時代に修理をしたこともお寺の歴史であるので、現存する部材を用いて修復したい」
との意向により、後補部財を再活用する。 残存する平安当初の体部は、類推可能な範囲で樹脂などで復元を行う。

完成

復元箇所も類推可能な範囲にとどめ、江戸時代の後補部材も再使用している。
所有者様のご意向を汲み、このお像の辿ってきた歴史を活かした修復となった。

修理事例②
木造十一面観音坐像

所蔵 小牧山東向観音堂(京都府)

像高 33.5cm

【修理前】

修理前の十一面観音坐像

【修理後】

修理後の十一面観音坐像

修理前の状態

像全体に埃や汚れが付着している。随所に鱗粉状剥離・粉状剥離・層状剥離がみられる。
頭頂部の変化面の位置が入れ替わっている。
台座の接着に緩み、間隙がみられる。
全体に彩色は後補である。

修理の方針

今回の修理では、接ぎ目に間隙の見られる台座は解体修理を行い尊容の恢復と本躰の安定を図る。
本躰に関しては、像に接ぎ目の間隙が見られないため、今回の修理では解体しないで剥落止め等にとどめる。

完成

台座の構造補強を主軸に行った。
また敷茄子の当初の地紋彫りが見えない状態で、前後逆についていたため黒色が塗られていたが、
制作当初の状態に戻すため後補彩色の除去をした。

修理事例③
木造肖像彫刻

所蔵 非公開

像高 非公開

【修理前】

修理前の頭部
修理前の右下半身

【修理後】

修理後の頭部
修理後の右下半身

修理前の状態

全体的に表面の彩色が浮き上がり、随所に層状剥離および亀裂がある。
体幹部と膝前の間に隙間があり、頭部は接合せず不安定な状態像全体に埃や汚れが付着している。
随所に鱗粉状剥離・粉状剥離・層状剥離がみられる。

修理の方針

所有者様のご意向であり解体はせず、 彩色もクリーニングと剥落止めでの 現状維持を基本に、尊容の回復を図る。

完成

お像の状態と所有者様のご意向を反映 して、現状維持修理を行った。
彩色は剥落止めと補彩、体内には 頭部の安定を図るためのホゾを設けた。 良い状態でお祀りいただけるよう努めた。